ひろんた村、変わります(9月の短信より)
- ひろんた村
- 2 日前
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【ひろんた村、再スタートに向けて】
季節が移り変わりつつあります。空も雲も高く、稲穂も色づいてきました。
そんな季節の変わり目、ひろんた村も転換期を迎えています。このたび、介護事業からの撤退を決断しました。やはりこの規模で介護保険を使わない住宅型ホームは経営的に難しく、また年々深刻になる介護人材の不足も大きな要因です。丸7年、少ない人数で助け合って綱渡り状態でやってきましたが、綱は擦り切れて細るばかり。このままだと経営側もスタッフも利用者も、みんな転落しかねません。少しでも体力があるうちに軟着陸を、と頭に置きつつこの1年あまり走ってきましたが、開所メンバーの節子さんを見送りたい気持ちがあって具体化していませんでした。先月、その節子さんが他界され、背中を押されるように動き始めました。
24時間の見守り態勢がとれなくなるので、残念ながら介護のいる方は移動になります。幸いというか、それぞれの事情で移動も視野に入っていた方ばかりであり、ご家族やケアマネと相談して進めています。
ほぼ自立の方お二人は残りたいと言ってくれて、そこを起点に「食事付きシェアハウス」へ移行します。これに加え、すでに行っている体験や研修・インターンを受け入れる「体験宿泊施設」、また宿泊だけにも使える「ゲストハウス」、この3つの利用を考えています。日中のスタッフ1人で賄える範囲を予定していますが、来るものは拒まず去るものは追わずに流れに沿うつもり。何かあった時はみんなで話し合って考える、そんな場所にしたいです。
農園、豚と鶏、加工は継続予定です。人手により調整は必要になりますが、自給の暮らしや技術を広げて繋ぐというのがこれからの柱となるので、できるだけこれまで通りと思っています。「自給知足」という暮らしの中で、老病あっても自分の生を生き、自分の死を死ぬ。当たり前のことが難しくなった世の中で、当たり前のことを支えて叶えていけるよう、楽しみながら努力を重ねていこうと思います。
そういうわけで、ハムはこれからも続きます。とはいえ、創業者もお客様も高齢となっております。作るほう、食べるほうともに、ご興味のある方はぜひご連絡ください!これからも「ひろんた村」をよろしくお願いいたします。(歌野杳)
↓開所まもないあの頃…

【施設長、振り返る】
この度介護事業から撤退する事になりました。が、そもそも私の中では半農半介護とうたったものの介護施設を作るという発想はありませんでした。高齢者も働き手の若い者も子供も一緒にごちゃごちゃと暮らす場所、みたいなものを漠然とイメージしてました。しかしながら実際始めてみればそうはいかない事ばかり。先ずは介護畑から来たスタッフとのズレ。例えば90代のご夫婦(円之助さんトメさん)でどちらも車椅子、介護スタッフは部屋の車椅子の置く位置から心配してあれこれ手を出し二人の動きに注意を払います。が当のご本人達は部屋に入れば自分達の勝手にしたい、(という感じで、円之助さんはしょっちゅうドアを閉めろと言ってたものでした)、私はそれでいいとと思うのですが「何かあったらどうしますか」と介護畑は厳しい。結局は息子さんから「これまで二人で助け合ってきたのだから好きなようにさせて欲しい。何が起こってもいいから」という希望があって落ち着きました。施設介護でのリスク回避、それによる過剰介護(?)の現状を見た気がしました。しかし、逆に本当に転倒の危険が大きい人に対する対処には現場のスタッフならではの気配り対応が必要な事も教えられました。その後もリスク回避を含めた介護者として責任を常に考えるスタッフと、あくまでここは暮らしの場と唱える私達とはやり合う事が多かったのですが、ある時からここは特養や老健のように介護保険で成り立ってる施設とは違うと気づいてくれて、お互い歩みよる事ができました。
↓懐かしいお二人!

もう一つは入居者それぞれの事情や思いがいろいろで、共にここで一緒に(農的な暮らしを)したいと積極的に来られた方はごく少数でした。それも無理からぬ事だと今では思えます。皆ギリギリまで自宅で暮らしたい、でもそれが出来なくなって施設を選ぶのですから。元々は入居者もスタッフも農的な作業にもっと関わって貰いたいと思ってましたが、やはり介護中心にならざるを得なくなってしまいました。それでも入居者の方で自分の畑を作る方がいたり、皆で芋掘りしたり、収穫した豆や麦の選別をしてもらったり、味噌つきやカンコロ作りをしたりと、農が傍らにある暮らしの一端は楽しむことができたかなと思います。


今でも思い出すのは、先のトメさんが大豆の選別を一手に引き受けてくれたこと。足は不自由でしたが目と手はしっかりしていて働き者。「なーんもしないと寝てばっかり、ダメ」と、豆の選別を始めるとスタッフが止めるまで時間を忘れてやってくれます。誰かの役に立ってること、自分の仕事があることが嬉しい(?)ようで「わたしはここに雇われてるさかい」なんて言ってるのを聞いてクスッと笑ったこともあります。勿論こちらとしては手間暇かかる選別をやってくれるのは本当に大助かり。息子さん達からは「ばあちゃんが長生きできたのは仕事させて貰ったからや」と感謝されました。私の中にあった農家イメージ、家族がそれぞれできる仕事をこなしてながら助け合っていく暮らし、それを図らずもトメさんが実現してくれたかなと思えました。半農半介護のホーム作りの多くは実現できませんでしたが、トメさんの豆選別の姿は私にとって大切な何よりのご褒美かもしれません。その他ここには書き切れませんが、入居者、スタッフのそれぞれから有形無形色々なサポートや嬉しい言葉をいただきました。一風変わった施設ゆえに他にはない苦労もあったと思いますが、皆でよく頑張ってくれたと思います。本当に有難う。そしてご苦労様でした。(歌野啓子)
【今月のハムについて】
さて今回もひろんた豚です。味菜村の豚たちは暑さで食欲が落ちなかなか大きくならないと。うちの豚ちゃんはいつもお腹を空かせてガツガツ食べてる様子、こちらは少々餌不足かも。ともあれ今回の豚は元気者でしかも性格が優しく穏やかでした(新参の子豚は大抵イジメに遭うけどこの豚はいじめず逆に庇っていた)。肉量は64kgと小さかったですが肉はとてもきれいでいい感じ、脂肪はやはり少なめでした。
今回思うところあって(最近肉肉しさが強く感じられて。年のせいかな)ソーセージの調味を少し変えてみました。一度に全部変えるのは怖いので半分は今まで通り(太めの方)、残り半分に香辛料や玉ねぎの汁、ブランデーを増量してみました(細めの方)少し食べ易くなった気がしますがどうでしょうか。あまり変わらないかな。
サラミが少し塩が強く残っているようです。薄めに切ってどうぞ。

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