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執筆者の写真ひろんた村

いのちを育て、食べる(4月の短信より)

【「ひろんた」の移り変わり】

 本当に雨の多い春です。冬からずっとそうで、野菜や果樹も日照不足。晴れると農園長もチームも、花壇のお世話をしてくれるSさんも大忙しです。

 


曇り空だけど、

母屋のお花見も雨の合間を縫ってやりました。異常な気候の中にも一生懸命咲く桜の下で、みんなで食べて飲んで歌って。ちょっと肌寒くても外でみんなでお弁当を広げるのは格別ですね。ノンアルビールでもほろ酔い気分です。


やっぱりピクニックは楽しい!

 毎年のお花見の舞台はひろんたの小さな公園あとです。上五島の真ん中にあるひろんたは戦後に開拓され、最盛期は十数世帯が暮らしていました。世の中が便利になるにつれて山奥の不便さから人は去り、歌野家がきた40年近く前には2軒を残すのみ。一軒は農園チームの広巳さんとご両親。ご両親は亡くなり本人も今は街に住んでいますが、農園でバリバリ(ゆるゆる?)頑張ってくれています。もう一軒のお爺さんも亡くなり、奥さんは今年、子どもさんのいる関東へ引っ越しました。転入はというと、母屋の棟梁に続いて母屋住人が徐々に加わり、今週、もうひと家族増えました。微減、微増を続けながら細々と続くひろんたです。ほそくていいから長く、ひろんたの自然と一緒に暮らす小さな村でありたいと願いつつ、久しぶりの青空の下を歩いています。

 母屋のほうは、事情があってお一人の退居が決まり、ひと部屋空くことになります。スタッフも新しく入ってくれる人もあって何とか繋がっていますが、入居者さんとともに募集中です。

 


美羽ちゃんと農園隊(左は元農園隊長)

さて先月の加工を手伝ってくれた寺島美羽ちゃん。「豚の餌やりが好き」と言ってくれていただけに、たくさん感じて考えて、

言葉にしてくれました。

お楽しみください!(歌野杳)









【豚のカット、加工作業を経験して】

 先月に引き続き、文章を書くこととなりました。前回は執筆した後にハムやベーコン等の加工品を作るお手伝いをしたため、そのことを書けなかったのでここで文章にしたいと思います。



燻煙・ボイル後、最後の乾燥中のモモハム

 ひろんた村では、毎月末の出荷に合わせて豚のカットと加工の作業があります。初めてこの一連の行程を見た時、なんとも言えない複雑な思考が次々と浮かんできました。小さな加工場で、包丁で丁寧にロース、ショルダー、モモ、バラ…ミンチにする部分、残らず全てを切り分けて頂きます。そして、ハムやベーコン、ソーセージが吊るされていきます。ズラリと並んだものを見て、私は無意識に笑ってしまいました。この豚は、自分がまさかこういう姿になることなんて想像したこともなかっただろうと思うのです。私が知っているのは、残飯やおからにがっつき、天気の良い日には日向ぼっこをしているような愛おしい豚さんですが、目の前に吊るされているベーコンも紛れもなく豚さんのいのちです。ある人の、死に様ではなく生き様が重要だという意味の言葉がありますが、これは豚さんにも当てはめて良いのでしょうか。毎日伸び伸びと生きた豚さんは、市販のスーパーで売られている豚肉の豚さんよりは幸せなのでしょうか。どうせ人の手によって殺されているのだから…他の豚と比べたところで、私は豚の幸せを測ることなんてできないのだから…とグズグズした思考が止まりません。また、私はこういう風に死ぬことができたら良いのだろうかと、冗談半分で想像し、社会は残酷だなあとそう思い込もうとする私自身に対しての呆れ笑いが無意識に溢れたのかもしれません。

 今月はひろんた村の豚さんのようです。私が滞在していた時に、毎日元気に餌を頬張っていた豚さんです。あなたは可愛かったよ、美しかった。そして強い子だった。この豚さんの恵みを、どうか大切に味わって皆様の中で生かしていただければと願います。(寺島美羽)


入れ替わりで来た子豚たち。これは船の上で旅に疲れて寝ているところです


【加工を終えて・料金改定について】

今回は久し振りにひろんた育ちの豚です。重さは63kgと小さめでとにかく脂肪のない赤身肉。ロースハムや特にベーコンにはもっと脂肪がないと困るなあ、という感じで味菜村の豚とは大違い。最近はビスケットをはじめラードがいろいろと活躍してるのですが、ラードもあまり作れませんでした。ソーセージもどうなるか心配でしたがこちらはまあまあ。脂肪分が少ないせいかいつもより塩味が強く感じられるかも。(その他の製品も同じ)気になっていた固い筋はミンサーの歯の問題かと思い部品を取り寄せようとしたのですが古い型でもう無いと。研いでくれるところがあるそうなので送ってみます。


 お知らせです。これまで何回か検討しながら踏み切れなかったのですが、いよいよ次回から値上げさせていただきます。値上げ幅はg700円のロースハムなどを800円に、600円の燻肉やサラミを700円、というふうに大体一割ちょっとの値上げ。諸々の物価高の中「お前もか」と思われるでしょうが、むぎんこハムの時から30数年間一部値上げしましたがほとんどは変わらずやってきましたご容赦下さい。来月は加工はお休みですので6月からの改訂です。相変わらず雨の多い日々、日照不足でツツジは色も褪せ元気がありません。皆様のところはどうでしょうか。五月晴れの空になることを!(歌野啓子)


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