こころの療養に
「ひろんた村」へ
母屋では、うつやストレス障害、依存症などで疲れ、転地療養を考えられている方を受け入れています。
とは言っても、それ専用の医療施設を備えているわけではない「ひろんた村」です。療養のツールはあくまでも普通の暮らし。上五島の山あいの豊かな自然の中で過ごしていただき、農園の軽作業や動物とのふれあい、あるいは母屋での各種加工の作業などを通して精神の回復を図れないかと考えています。
「生きづらい」社会でお疲れの方、お気軽にお問合せください。
【受け入れ停止中です】
現在、空室なしのため受け入れ不可となっております。「自給の暮らし体験」は受け付けています。ご検討ください
【利用料】11,000円(税込)/日 (3食つき。食材は、ひろんた村農園のものや加工品が主です)
【施設概要】
居室:13.90㎡ 畳部屋 洗面台つき(ベッド希望の場合、ベッドレンタル料が発生します)
入浴:共用(浴槽2 個浴)
トイレ:共用(福祉トイレ1,洋式トイレ1)
スタッフ:看護師1,介護福祉士1,介護士6
【島内アクセス】
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上五島病院(内科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、神経内科、腎臓内科、外科、整形外科など18科、186床):車で18分
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商業ゾーン(スーパーなど):車で15分
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有川港(佐世保からのフェリー・高速船):車で18分
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青方港(博多からのフェリー):車で20分
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鯛ノ浦港(長崎からの高速船):車で10分
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海:車で10分〜(海水浴場や景色の良いところが点在しています)
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島内には鍼灸・マッサージなどの治療院も
【ひろんた村での過ごし方】
ひろんた村での日々は、暮らしの基本である「食べる」を中心に、ゆるっと過ごしていただきます。基本的には、朝食7〜8時、昼食12時、夕食6時といったように、良いものを規則正しく食べる。けれど、諸事情でそれが叶わない方は、時間や場所も変えられます。
あとは、農園での軽作業(畑で草取りや収穫、農園周囲の整備、花植えなど)や加工作業(麹作り、味噌作り、保存食加工、おやつ作りなど)、動物の世話(豚と鶏の餌やり、犬の散歩)といった作業で手を動かし、「ものをつくる・生み出す」歓びを体に感じてもらいます。気が向かない時や、まだ準備ができない方は、散歩に行ったり本を読んだり絵を描いたり、思い思いに過ごしていただきます。
《一日の過ごし方 サンプル1》
6:00 起床 周辺散歩
7:00 朝食 (ご飯、味噌汁、卵焼き)
午前中:じゃがいもの植え付け作業
12:00 昼食 (魚フライ、サラダ、昆布大豆)
午後:ウッドデッキで読書
ひろんた村住人とお茶
夕食用の野菜の収穫
17:00 ペロタ(犬)の散歩
18:00 夕食(イカの刺し身、かぼちゃのそぼろ餡)
《サンプル 2》
8:00 起床
8:30 朝食 (パン、オムレツ、スープ)
10:00 テルミー(お灸の一種)体験
午前中は部屋でゆっくり
13:00 昼食(五目ちらし、炒り鶏)
午後:おやつのケーキ作り。みんなでおやつ
16:00 豚の餌やり体験、鶏の卵をとってくる
18:00 夕食(ココナッツカレー、麦ごはん)
《サンプル 3》
7:00 朝食 (パン、味噌汁、サラダ)
午前中はぎょうざ製作(ニラの掃除、具と皮作り)
12:00 昼食(ぎょうざ、もやしと春雨のサラダ、中華スープ)
街へ。住人のおばあちゃんに買い物を頼まれる。
いい天気なので海を見て帰る。
16:00 ペロタの散歩
18:00 夕食(自家製ベーコンとキャベツのパスタ)
「テルミー」という一種のお灸による温熱療養は、イチオシのリラックスメニューです。
金具に入った棒灸で体をなでることで、気血の流れを良くしてくれます。ひろんた村の看護師さんはプロの療術師。スタッフの中でも、「困った時のテルミー」として大活躍の療法です。百聞は一見にしかず、どうぞお試しください。
「こころの療養」に参加して
妻を癌で亡くして49日が過ぎ、ひろんた村に「こころの療養」として1週間ほど滞在させていただきました。家に独りいると、ただただぼうっとしてしまい、あれこれと悲しみに浸る時間だけがのっぺらと流れていきます。その繰り返しの日々では、どうにもならないと思い、ひろんた村でただ何も考えずに身体を動かしたいなと思って伺わせていただきました。
■身体を動かしたい
最初は、自給学校への参加も考えたのですが、何かを具体的に学びたいという気持ちよりは、草刈りでも皿洗いでも何でも下働きのようなものがただ単純にしたいなと思い、「なんでもしますから」と歌野さんにお願いしました。歌野家に愛犬ともども居候させていただき、歌野さんにあれこれと指示をいただきながら、身体を動かさせていただきました。
私が実質5日間でおこなった作業は次のようなものです。ビール空き瓶消毒、糸紡ぎ体験、シイタケホダ木整理と網掛け、芋切り、軽トラによる残飯回収、風呂焚き、羽釜焚き、米蒸し、芋蒸し、芋焼酎仕込み、チェンソーによる丸太裁断、皿洗い、裏山の倒木をチェンソーで伐り片付け、自家製ビール瓶詰め作業、打栓、大豆収穫、枝豆選別、焼き鳥串刺し、犬散歩などなど。あ、入所者さんとの語らいも。
毎日夕方5時過ぎると、「そろそろ飲もうか」と声がかかり、自家製ビールを飲ませていただきました。うまい!。そして、芯まであたたまる薪風呂に入り、焼酎に変えてまた飲む。。。毎晩身体を使い、飲んだくれてぐっすりと寝ることができました。
■自給という時間
歌野さんがされている自給の暮らしは、なんとも急がしい毎日です。ひろんた村母屋の業務もあるので、お二人ともじっとしていません。作物の種まきから収穫までの時間、風呂が焚ける時間、酒が発酵される時間、炭が熱を出す時間、鹿が荒らす時間、小屋が腐る時間、といった長さの異なるさまざまな時間が折り重なって実は暮らしはできているのですね。「自給」というのは、そのからみあった多様で複雑な時間の中に身を置き、それらの流れに逆らわないように、それぞれが豊かに流れるようにあれこれと沿わせるようなものなのかもしれません。私たちの暮らしは、この本来は複雑で多様な特性を持つ時間を都合のよいように単純化し、分断し、コントロールしてしまったものなのでしょう。歌野さんご夫婦の頭の中には、どういったスケジュールがうごめいているのか、そのことに驚嘆しました。といっても、決してガチガチに多忙サラリーマンのマルチタスク的なものではなく(何より時間のスパンが長い)、そろそろこれかな、というペースで、ときどき面倒くさいな的な感じで進んでいくのです。歌野さんも啓子さんも日記のような記録をつけているようでした。振り返る中で忘れないようにしているのかもしれません。
■織り込まれる時間
私たちは、いつも時間を自身でコントロールできるという幻想の中にいるので、「こんどはあれをしてみよう」「そのためには、準備して、いつからいつまでどうしよう」といった計画を立てて実行しますが、なんだかのっぺらな毎日に無理矢理にプラスの時間を作り出しているだけのような気がします。無理があって疲れてしまう。暮らしのベースとして、自然に沿った複雑で多様な時間の流れの層があれば、あたらし計画も自ずと他の時間とどう絡み合うかがわかり、無理がないように織り込まれていくのではないでしょうか。
■自身の時間をつくる
妻との時間が終わり、独りとなってこれから自分自身の時間をどうつくっていけばいいか、わからないという状態であったのかもしれません。ひろんた村での、豊かな時間の流れに身を置くことによって、そのリズムを感じることができました。自身の時間をつくるヒントを得ることができたように思います。
久しぶりに、身体を動かし、自然のモノをいただき、新しいことをいろいろとさせていただきました。また、愛犬ウメも一緒に参加させていただき、歌野さん啓子さんはじめ、スタッフのみなさん、入所者さんもやさしく、ちょっと引きこもって誰とも話したくなかったのが、話したい、楽しいと思えるようになりました。ありがとうございます。何より、毎日の3食と自家製ビールと薪風呂のリズムが心地よく。。。身体が欲しています!
【体験記】
2020年11月に来られた方の体験記です。
このページにたどり着いた方それぞれ、様々な物語を持っていると思います。
何かの参考になればと、ご本人の承諾を得て載せさせていただきます。