【母屋のいま】
谷の桜もようやく咲き始めたかなと思ったら、今日(26日)は南から強い雨と風で荒れ模様の天気となっています。それでも、また雨が上がって日が射せば景色は一挙に春でしょう。
母屋のゲートから玄関まで、今年は見違えるように花の列が続いています。ビオラ,桜草、水仙、レンギョウ、ヒヤシンス…その他私には名前の分からない小さな可愛い花たち。その多くは作秋入居された副島さん(84歳)が、処分された自宅の庭から運んできてくれたものです。きちんと掘り上げた球根からボケなどの庭木まで。それらを母屋の固い土を掘り、石を取り草を取って丁寧に植えてくれています(まだ途中)。もう一人の住人Hさんのチューリップもいま花盛り。お陰で母屋の前は明るく華やかになっています。Hさんの畑では小松菜の芽もきれいに出揃って、「見てください」と嬉しそう。私も負けられません。時間があれば畑に出て春の種まき(夏大根、小カブ、ほうれん草…)に勤しむ日々です。
春は芽吹きの季節、山の木々や野の草と同じように、私たちの体も変化する季節。体調に気をつけてお過ごしください。
(啓子)
【炭焼き】
ひろんた村の奥にある歌野家にとって、炭は大切なエネルギー源です。煮炊きのほぼ全てと冬季の掘り炬燵を賄ってくれます。普段は冬仕事の炭焼きもここ数年は遅れがち。今年も隙を見ては準備をしていましたが、隣の島の炭焼き仲間が来てやっと始められました。春の不安定な空と睨めっこしながらやっています。歌野家の窯は作業のしやすさに重点を置いた(=熱回りは必ずしも良くない)小さな窯。それでも2~3窯焼けば一年分の燃料になります。大きな木なら1本強で窯が詰まる。贅沢しなければ、大木1本くらいで人ひとり一年暮らしていけるエネルギー(電気は別ですが)をくれるのです。すごい。炭は、人間の知恵と自然の力とが見事に融合した美しいもの。
この島で最良の炭材は椿ですが、ここでは大半が自家用なので、切らねばならない木から炭材にします。自然、ぐんぐん伸びる柔らかめの木が主流です。切り倒し、枝を払い、窯に合わせて切って、割って、詰めて密閉し、焚き口から火をつけます。数時間勢いよく焚いて窯の温度が上がると熱分解が始まり、焚くのをやめた後は焚き口と煙突で空気量を調整しつつ、50時間ほどかけて焼きます。
炭材の切り出しや窯詰めは大変な作業です。母屋、畑、加工と多忙な中に組み込むのは難儀ですが、それを補って余る充足感をくれます。森は静かで大らかです。川の音を聞きながら体を使って働き、疲れ、おいしいご飯を食べ、眠る。森の空気はその巡りをとても豊かなものにしてくれます。熱源としてだけでなく、炭焼きは大きなエネルギーの源です。(杳)
【味噌まんじゅう】
ひろんた村の加工品開発をする時に気持ちだけながらも大切にしてるポイントがあります。①ナチュラル原料で美味しいこと、②ひろんた村の食材をふんだんに使うこと、③ひろんた村らしいことです。①②は何度か試作して失敗や改良を重ねればクリア出来るものの、③はひとひねり加えなければならず新しい視点のひらめき次第。たとえば今では定番商品の味噌まんじゅう。開発初期は<ひろんた村らしさ>のひらめき不足で商品化が遅れていました。
加工部でなんやかんや作業しながら「まんじゅうに焼き印をしてみよう」ということになりました。早速次焼き印の試作開始。(焼き印まで自作したんです!)そしてひろんた村の<ひ>の焼き印や焦げ目を味わう渦巻き焼き印、ひろんた村のトレードマークでもある豚ちゃんの焼き印も工夫して作り、味噌まんじゅうに焼き付けたところ、茶色いまんじゅうが一気に可愛くなり、焦げ目の香ばしさで美味しさもアップ。無事商品化が決定したのでした。
もちろん見かけだけでなく味噌まんじゅうは①②にも自信があります。卵・味噌だけでなく、昨年はひろんた小麦が豊作だったので小麦もひろんた産のものを使用。畑で丈夫に育ってきた小麦や鶏が頑張って産んでくれた卵を蒸かしておまんじゅうに出来る事が作り手の自信にもなっています。 輸入品の不安定さが騒がれている最近ですが、ほんの小さな部分だとしても自分たちの手が届く範囲でささやかな豊かさを自給していけたと思うこの頃です。(高橋亜也美)
Comentarios