【小さい秋】
「暑いね」と「寒いね」という挨拶が1日置きに交わされるこの頃です。春秋の「良い季節」が短くなったと言われますが、今年は格別な気がします。暑いか寒いか、豪雨か旱魃か、極端です。人間社会の両極化もあるし、うまい具合に真ん中あたりっていうのがない時代になりました。

そんな奇妙な天気の中でも、小さい秋を楽しんでいる母屋です。
先月はスタッフさんが栗をたくさん持ってきてくれ、トメさんと一緒にむいてくれて栗ごはんや渋皮煮になり、お正月のきんとんの蓄えもできました。今月はささげ類。また別のスタッフさんが持ってきた赤や黒の豆を、節子さんとトメさんが仲良くさやむきです。どちらも耳が遠いので会話こそないけれど、豆が落ちてはニコっと笑い合って、とても柔らかい空間を作ってくれます。
ひろんたの大豆は今年は不出来ですが、それでも二人が剥いてくれて枝豆ごはんができました(生で剥くのは大変なんです!)。来月には大豆として収穫し、トメさんがまた選別に燃えることでしょう。
これまで雨が少なすぎて、さつま芋も里芋も悲惨です。そうかと思うと雨模様が続き、慌ただしく刈った稲はまだ脱穀ができていません(ハムの1日目に脱穀強行予定)。この夏と秋の収穫はこれまでにないささやかさで、農園長も落ち込んでいます。まさに「小さい秋」ですが、それでもできたものをありがたくいただいて、元気に冬を迎えたいと思います。人間社会も、消費活動も未知への探究もほどほどに抑え、みんながほどほどに幸せな暮らしを営んでいけたらいいですね。
(歌野杳)
【生き物が消えていくお話パート2】
前回の短信で身近な生き物が消えていく話を書きまして、今回はその続き。
前回の話の要約:夏の夜窓ガラスにびっしり集まっていた蛾や昆虫類が激減、また軒下に嫌というほど張りめぐらされていた女郎蜘蛛の巣も消えた。マダラチョウやオニヤンマは全く見ない、他の蝶や蜻蛉も減った。「絶滅危惧種」は身近な生き物にも及んでいる

私たち一家は37年前に引っ越してきましたが、その頃この島では、春になるとワカメ、ヒジキに始まりサザエ、アワビ、ウニといった磯ものをよく頂いたものです。この島では沢山とれた時は「⚪︎⚪︎ははやってるか?」つまり回ってきているかと聞き、無いといえば分かち合うのが当たり前でした。余所者の私達もそのお陰で魚など買ったことはありませんでした。魚は今でも結構いただきますが、その頃に比べると種類も量も激減。特にゴベ(カワハギ)やクサビ(ベラ)など、雑魚でも島の人には身近な魚が全く回ってこなくなりました。
谷にいる私達でさえ海の変化をまざまざと感じているのですから海辺に住んでいる人や漁師さんはもっとオカシイと思ってるでしょう。知り合いの潜りの漁師さんは海の中の砂漠化をもう20数年前から嘆いてました。こういう変化は今に始まったことではないでしょうが、近年はそれが加速していると思えるのです。気付いた時にはもう遅い、というのはよくありますが、このことを考えると恐ろしい話です。生物多様性の減少は言葉としては知っていましたが、今、身近な生き物が消えていくのを見るとずっしりと重い問題だと感じています。

ある調査によると世界の生物多様性は1970年からの50年間で69%減少したと。植物やシダ類6000種のうち4分の1が絶滅危惧種、日本の蝶87種のうち34種が絶滅の危機にあり、そのスピードは例えば減少率第一位のミヤマカラスアゲハは31.4%。これは1000匹が10年後には30匹になるスピードです。虫も鳥も草木も、海藻や魚介類も、大きな象から小さな足元の花までジワジワとしかし意外な速さで減っているのです。多様性減少の原因は大きく分けて4つ。①開発・乱獲 ②森林などの手入れ不足 ③外来種・化学物質 ④地球環境の変化つまり温暖化 いずれも人間の活動が大きな原因であることがわかります。この島のことを考えると、海を埋め立てて道を作り湾岸のいたる所にコンクリートを投入すれば(つまり開発)海の環境はガラリと変わります。それまで魚たちが産卵や幼魚の時期を過ごしていた場所が無くなったり棲めなくなったりします。そして私たちの生活用品からあらゆる種類の化学物質が最終的には海に流れ込みます。洗濯洗剤からシャンプー、化粧品、殺虫剤など店頭に並ぶ様々なものに使われている化学物質、これらは微量でも生物に大きな影響を与えるものがあります(環境ホルモン)。一般の生活以外にも例えば船に使われる塗料や燃料なども魚などにはいいものではないでしょう。そして温暖化です。いろいろな原因が様々に折り重なって生物の生きる環境を壊している、そう思うと私たちの便利な生活はそのうち「自然の恵み」など受けられない単調なものになりそうです。暗い話になりましたが、少しでもこの流れを変える努力(できるだけ化学物質やプラスチックは使わないとか、ゴミを減らすとか)はしたいと思っています。(歌野啓子)
【味菜自然村より】
10月に入り、ようやく涼しくなり、秋になりました。毎年お彼岸の時に彼岸花が咲きますが、今年は10月入ってからピークになりましたね。
今年の夏も豚さんにとっては酷暑でした。
今回、出荷した豚はそんな中でもわりと元気に走り回っていた豚さんです。
ここのところ、あまり大きく育てることができてないのですが、久しぶりに今回の豚さんはすごくいい感じだったのではないかと思っています。(林拓生)
【加工を終えて】
今回は味菜自然村の豚。メッセージにもあるように79kgと大豚でした。やはり脂肪は多く、削った脂肪は10kg。ラードがたっぷりとれました。肉質がいつもよりかなり柔らかくてカットに手間取りました。出来上がりに違いがあるか、よーく味わってみて下さい。ソーセージも味菜豚にしては結着が今一つ。いぶし肉は先月までスモークが高温でジャーキーのようになったので、気温が下がったこともあり、やや控えめにしました。煙はよくかかっていると思います。
加工初日、工場の前では米の脱穀。稲刈り後雨が続いてヤキモキしていましたがようやく脱穀。量は少ないけれどやはりお米の収穫は心弾むものがありますね。
*生態系のバランスが崩れて多様性が失われ、反面、数種類の鳥や虫が大量に見られる気がします。今年はヒヨドリ、カワラヒワ、ヒタキ系の鳥が襲来し、収穫前の米をモリモリ食べました。そこで鳥よけ「まいっ鷹」を導入。すこーしだけ、番犬ならぬ番鳥になってくれたかも。




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