top of page

沈黙の春。でも前向きに(3月の短信より)

【新しい試み】

これが皆様に届く頃には少し寒が戻っている予報ですが、ここ数日は春、母屋も花盛りを迎えています。


スモモ
スモモ

ゲート横の木蓮の花が次々と開き、向かいでは沈丁花が香ります。同じ列にはミモザが控えめに、レンギョウが華やかに揺れ、足元は水仙やオキザリスが飾ってくれます。モモやスモモの白とピンクがのぞく下段の果樹園では、合間にとり残しの橙や夏みかんが、まだ!

こんなに楽しめるのも、毎年木を植えたい母(施設長)と、日々こつこつとお手入れをしてくれる副島さんのおかげです。副島さんは、入居に伴って処分した自宅から苗や球根をたくさん持ってきせっせと植えて、手をかけてくれ、おかげで母屋の周りはいつもきれいです。感謝。


木蓮
木蓮

2月はコロナに襲われた母屋は、今月になっても咳や倦怠感を引きずった人も。炭焼きはできていなくて、ウグイスとカエルの声にさすがに焦る日々です。

コロナからの肺炎で入院した節子さんも戻ってきました。ややレベルダウンし、車椅子移動になりましたが、人の顔を見ては「いい笑顔やなあ」、ご飯のお膳を前に「ご馳走やなあ」と喜んでくれるのは変わりません。


さて、ひろんた村では、体験宿泊プログラムを実施しています。これまでも体験入所や「自給の暮らし体験」など受け入れてきましたが、それを移住マッチングサイトに掲載するなど拡散を図っています。今の形の施設運営の限界を実感し、それは母屋だけでなく今の介護業界、さらには現代の生活様式の限界につながってきます。思考は膨らむのですが、戻るところはいつも、足るを知って体を使い、支え合って暮らすことです。それが広がれば、希望も見えるかも。思いを同じにする方、興味のある方ありましたらぜひご紹介ください。(歌野杳)


【ひろんたの春も・・・】

寒さが消えたと思ったら昨日今日は汗ばむ陽気。あっという間に桜が開き始めました。「ああ春だ」と思うそばからここ数年春が来るたびに何とも寂しい気持ちに襲われます。静かなのです。ここに来た三十数年前には桜の咲く頃ともなれば鶯はもとより色々な小鳥の声がうるさい程賑やかでした。今も鶯は鳴いてますが遠くで一羽か二羽かといった程度。ヒヨもいますが以前ほどうるさくない(昨年は他所から渡って来た大群の被害にあったが) 椿の花に集まるメジロや電線で高らかに囀るシジュウカラ、ホトトギスなどなど季節に合わせて次々とやってきていた鳥たちが今は種類も数も少なくなってます。また春一番に目覚めてコロコロと可愛い声で鳴くシュレーゲルカエルも以前より少なく、全く姿を見せなくなったのがヒキガエル。雨の夜道路の真ん中にデーンと座ってよく驚かされたのですがいつからか居なくなってしまいました。これが家裏で鳴くとひどい鳴き声と音量で大変でしたが。あと声は無いけどいつも通る小道に多分イモリと思うのですが必ず卵を産んでいる水溜りがありました。それを見ると「春」を感じてたのですうが最近見かけなくなりました。


シュレーゲル
シュレーゲル

 そんなこんなで何やらレイチェル・カーソンの「沈默の春」が想起されて憂鬱になるのです。それがこの谷や島だけでなく地球規模で起きていることだと思うとますます不安が増します。先日(3月25日)毎日新聞に「地球の健康診断 危険レベル」という記事が出ていました。人類は気候変動と生物多様性の減少に加え、プラスチックや有機フッ素化合物などの有害化学物質による汚染という三重の危機に直面していると。今のままでいったら地球環境が取り返しのつかない「地球温暖化のテイツピングポイント(臨界点)」超えてしまう恐れがあると。例えば熱帯のサンゴ礁の死滅、アマゾンの熱帯林の消滅、グリーンランドやシベリアの永久凍土の溶解などが臨界点に近づいており、一度臨界点を超えると海水面の上昇に歯止めがかからない、大規模な森林火災や生物の大絶滅、水資源の不足といった人間の生存に関わる大きな環境の変化に見舞われると予想されてます。

 この記事で人間活動の影響で許容範囲を大きく越えているものの一つに化学肥料の大量使用が上げられていました。これまでも使い過ぎた窒素やリンが土地をダメにしているという話は知ってましたが地球規模で環境破壊をもたらしているとは驚きました 。一つには水質汚染、過剰な窒素やリンが農地から流出、河川や湖、地下水に流れ込み水性生物のバランスを崩し飲用水を汚染。藻類の異常増殖して「富栄養化」を招いて水質悪化させます。その他日常使っている化学物質も最後には河川や地下水にまじるので人の使える水資源は減少の一途だとか。あともう一つは土を劣化させる悪影響もあります。土壌を酸性化させ微生物を減少させ本来の土の豊かさを奪ってしまうと。これはあくまで化学肥料を使い過ぎや大量使用した場合ですが。

 アマゾンの森林を伐採して日本向けの大豆が作られ、その大豆のおかげで私たちは安い豆腐を食べることができてます。今の自分達の生活が地球環境の破壊に連なると思うと私の憂鬱はなかなかおさまりません。大きなシステムの変革が必要なのでしょうが…。

(歌野啓子)

Commentaires


長崎県南松浦郡新上五島町鯛ノ浦郷87−658

Tel: 0959-42-0363     Email: hirontamura@gmail.com

  • Facebook Social Icon
bottom of page