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執筆者の写真ひろんた村

年の瀬の思いと、豚について

今年もあとわずか、毎年のことながら一年の早いことに驚きます。そして過ぎ去った出来事がまるで遠い昔のことのような夢のような心地いたします。齢のせいでしょうか。

 さて、この一年で母屋最大の出来事は6室全て満室になったことでしょう。9月末Wさんが北海道からはるばるやってこられました。昨秋ショートステイ(体験入所)してとても気に入ってくれて、その時は「あと5年したら…」と言ってま,たが「やはり元気なうちに」と決意されたようです。目が不自由なのですがそんなことはほとんど感じさせないくらい明るくて活動的。そのWさん、目が不自由な分他の感覚がとても鋭い人で「ここのお料理はどれも美味しいけど一番嬉しいのはちゃんと出汁をとってくれてること」と。昆布や鰹節、煮干し、焼あごなどでごく普通にとってるだけなのに「手間かけてくれてネ、ありがたいワ」ととても喜んでくださいます。こちらとしてはそんなに大したことではないので少々くすぐったい気もしますが、 ただ出汁だけでなく、醤油や味噌をはじめ使っている調味料は自家製か化学調味料や添加物の入っているものはなるべく避けているので、敏感なWさんにはそれが分かるようです。料理になってしまったらあまり分からないけど私たちが大事にしていることをちゃんと分かってくれたと思うと私もジワッと嬉しくなってきました。

釣りたてアジフライ、ひろんたポテトサラダ

漬物用の大根を干す

 母屋開設当初、私の心中には「おいしいもの皆でたのしく食べる場」でありたいというのが大きな柱でした。その「おいしいもの」は人それぞれあるでしょうが、私としては食は命、食べ物は生きものという思いがあるのできちんと体の中に命をそそぎこむもの、日々の生きる源になるもの、そういう食べものが本当に「おいしいもの」ではないかと思えるのです。つまり化学調味料や保存料、着色料や香料などは「食べもの」ではない、体に不要なもの、それ故もともとの素材がもっている味を変えて(不味く)いるのではないかと思うのです。年末の感想を書くつもりが妙な方向になってしまい、すみません。でもwさんの話は私たちが長年作り続けているハムの原点を思い出させてくれました。豚の肉は食べものとなって私たちの新たな命になるのです。これを美味しく食べるのは私たちの努め(?)。気持を込めて作りますので皆様も気合を入れて(?)お召し上がりくださいませ。ではでは来る年もどうぞよろしくお付き合いください。良いお年を!        (啓子)



【豚部門 一時縮小】

 12月がやってきました。

 今年もいつものように、お歳暮やお正月用のために2頭分の加工です。今月の出荷もなかなか大苦戦しました。1頭がとても用心深く、ちょうど来ていたお客さんの手も借りてなんとか。毎月毎回、殺す、生きる、という言い訳のできない行為を、いただく命とともに噛み締めます。

 そんな豚部門ですが、少し縮小します。

 ひろんた豚と鶏は、島内の病院から残飯を、パン屋さんからパンの耳、豆腐屋さんからおからを毎日もらってきて、母屋スタッフが餌やりをします。毎月1頭を軽トラに積み込み、そのままフェリーに乗せて福江島の食肉センターまで連れていき、数日後に部位ごとの肉塊となって送られてくる。カットして漬け込み、翌週に燻製にする。出荷の時に、同じ福江島の養豚場から子豚を仕入れて連れてきて、ひと月ほど子豚房の中で過ごしたあとに放牧場デビュー。このサイクルで4年間、なんとかやってきましたが、手が回り切らないのを痛感する日々でもありました。

放牧場に土を入れる

 子豚はある程度大きくなったのをもらいますが、文字通り温室育ちで、大自然に慣れるのに時間がかかります。放牧場に出ると大きな豚にどつかれて、ひどい時には負傷します。四つ足動物に足の損傷は致命的で、多くはちゃんと太れずに中豚のお肉になったりするのです。また、昨冬は子豚の脱肛に悩まされもしました。温室から荒野への環境変化か、大豚に潰されるのか、土埃による咳か、様々な原因が考えられますが、おざなりの対策しかできていません。ぬかるみがちな放牧場の改善プロジェクトも試みましたが、丸太アスレチック状でとどまっています。養豚に集中できるなら発酵を利用して床土の循環を目指すなど取り組みたいことは多々ありますが、いかんせん時間と手が足りず、豚を諦めるという苦渋の決断に至りました。

豚は土が大好き

 しかしご安心ください。これからは「むぎんこ広場」からのお客様ならご存じの、佐世保・江迎の「味菜自然村」のハッピーポークを迎えての加工となります。ここも施設の残飯を使い、しかもそれを乳酸発酵させるという手間を加えたこだわりの餌で、山の斜面にいくつかある放牧場を回しながら健康豚を育てています。豚が大好きな林拓生さん家族が育てた、日本では希少な「中ヨークシャー」、楽しみにしていてください。

 ただ、ひろんた村も2~3頭は維持する予定です。年末加工か不定期になるのか未定ですが、時々登場します。焼却されるしかない残飯など地域の資源を使った養豚をつなげたくもあり、将来また余裕ができたら増やしたいな、とも。地域資源も土も命も回るぐるぐるライフを目指して、道はさらに長くなってる感がありつつ、ひろんた農園はぼちぼち頑張ります。(杳)

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