暑さが少し緩んだか?という9月はじめ、エイヤっとがんばって味噌と醤油を続けて仕込みました。醤油は以前、冬に仕込んでいたのですが、一度夏にやってみたら麹の元気がよく、それからは夏仕事になっています。味噌は年に数回仕込んで、順番に開けて食べます。
工程は、醤油:
①麦をこんがり炒って粗く砕く(この作業が暑い!から、冬仕込みだった)
②一晩浸水した大豆を蒸し、粗挽き煎り麦に麹菌をつけ、醤油麹を作る
③麹ができたら塩と水を混ぜて仕込む
味噌:
①麹仕込む(今回は裸麦)
②浸水した大豆を炊き、麹と塩と大豆を混ぜて搗く
この両方を今回、味噌用麦麹の仕込みから始まって足掛け10日ほどで行いました。ここでは、年に一度の醤油仕込みの方をご紹介します。
まずは醤油のために麦を煎る。
ギラギラの陽差しと下からのかまどの火で、身体中の水分が搾り取られる作業です。友人と交代で木陰に避難しながら3時間ですが、友人特製のゴーヤースムージーのおかげで干物にならずに済みました。さらに熾火に初芋を埋め、その上で鯛焼きを焼いてみたり、おいしい楽しさに目がない彼女のおかげでも充実・満腹の1日。やっぱり楽しい食べ物って大事ですね。煎った麦が冷めたら粗く挽いて、①の工程が終了。
②の醤油麹の仕込みは、蒸した大豆と①に麹菌を加えてよく混ぜ、もろぶたに広げます。麹ができるまでの敵は納豆菌。温度が高すぎ・低すぎたり、蒸れたりするとスキをついて繁殖します。麹菌に快適な温度・湿度を保って段々薄く広げていき、無事に納豆菌にも競り勝って、2~3日後にはきれいなウグイス色の醤油麹ができました。水と塩と合わせて仕込み完了です。
これをふた夏毎日かき混ぜて、絞ったら醤油の出来上がりです。
発酵食品は仕込みにも段階があって何日もかかり、仕込んでからまた時間がかかるタイムカプセルです。自然にいる元気な菌がモリモリ詰まって、体をきれいにしてくれます。醤油の仕込みは、麦ができる夏~秋です。体験ご希望の方はこの季節にどうぞ!
【虫が消える(前半)】
「暑さ寒さも彼岸まで」といった言葉ももはや死語になりつつあろようで彼岸すぎても30度を超す暑さと夏の日差しが続いています。能登半島では大変な大雨というのにこちらは日照り、雨が降らずにこまっています。九月初めに蒔いた野菜(小松菜や春菊などなど)は水遣りしてたのですが暑さと虫でほぼ全滅。今度こそは、と今もせっせと種蒔き中ですがこの天気、まだまだ続く予報。どうなることやら。
この異常な天気とも関連していると思いますがここ数年(10数年前から始まっていたかも)身近な生き物たちが少なくなっていることに驚いています。30数年前ここに移住してきた頃、夏の夜は灯火(森の中の一軒家ですから)に集まってくる様々な虫が窓いっぱいに貼り付いてそれはそれは見るのもちょっと怖いくらいでした。多くは大小様々な蛾でしたが、小型クワガタやカブトムシなどの昆虫類、田んぼの害虫ツマグロヨコバイなどもいてガラス越しにツツーと横歩きするのがよく観察できました。そしてその虫を捕らえようと蜘蛛が軒下至る所に巣を張って(それも大きくて赤と黄色の毒々しい姿の女郎蜘蛛)これもまた私の悩みの種でした。蜘蛛は山にも私達が歩く道にも見事な巣を(朝露でキラキラ光っていたりするとつい見惚れるほど)張っているので朝一番に外に出る時は蜘蛛の巣払いの棒が必携でした。今はその窓に寄ってくる虫が全くいません。蜘蛛の巣も激減しました。夜の虫以外にも消えたり少なくなっているものがいっぱいあります。
まずほとんど見かけなくなったものを思いつくままあげてみます。この辺でゴトヒキと呼ぶガマガエル。時期になりと小屋の隅にじっと鎮座していたり雨上がりの車道によく座ってました。マダラチョウ、渡りをするというこのチョウが林道にふわふわ飛んでるのに最初はびっくり、でもこの蝶はほんのいっときだけでした。オニヤンマ、これも林道のまん真ん中を一直線に向かってきて私ぶつかる直前にぱっと身を翻す業は見事でした。あと全くいない訳ではないけれどアゲハチョウ(とくにここにはクロアゲハの種類が多かった)、シジミチョウ(かっては色とりどり地面に飛び回っていた)、トンボいろいろ(今もウスバキトンボが稲田の上を飛び交っていたけど数が少ない)、カエル、秋の虫等なども種類が減り個体数も減ってます。
たかだか10年20年の間にこんなに激減するとは!このスピードで減っていったらどうなるか、小さい虫達がいなくなればその影響はどこに出るのでしょうか。因みに生物多様性のことをちょっと調べてみてこれまたびっくり。世界的には1970年代からこの50年で生物多様性が69%減少。日本では野生動植物の30%が絶滅危惧種だとか。例えば蝶。87種のうち34種が絶滅危惧種でその減少率(1年にどれくらい減ったか)をみると一位がミヤマカラスアゲハで31.4%。これは千匹が10年後に30匹になるという数字。ゴマダラチョウも11%で3位に入ってます。(来月に続く)
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