「ひろんた村 居間」のデイサービスは、介護士4名、介護福祉士2名、作業療法士1名、鍼灸師1名が交代で、月・火・金曜日に行なっています。
開設当初は、特に何かをやるというより、暮らしに必要な作業をできるだけ取り入れて利用者さんにやって貰うことに重点を置いていました。農作業から発生する豆の選別やニラの掃除(きれいにすること)等から麹造り味噌仕込みなどなど…。今でももちろんなるべくできることはやってもらうようにしているのですが、人数が増えると皆でできることがだんだん少なくなってきました。1人1人できることが違うので、それに合わせて準備するのも大変です。コロナの影響で外からのボランティアも来てもらえなくなり、麹や味噌づくりなどは今では歌野家でやっています。
それでも季節を感じられるツワの皮むきや梅仕事などは、皆さん大好きなので母屋の仕事
としてお願いしています。ただこれはデイサービスのプログラムというよりは日常の暮らしの作業となってます。
ということで、デイサービスのメニューとしては、機能訓練に重点が置かれるようになりました。もちろん歌や手遊びといったレクレーションも取り入れながらではあります。
以下では2人の機能訓練士からそれぞれの利用者さんの今の身体機能の状態や訓練の目
的や様子を述べて貰いたいと思います。
■デイサービスの大まかな流れ
10時 バイタルチェックの後、集団で体操、歌
11時 個別機能訓練
12時 昼食
13~15時 入浴、個別機能訓練
■作業療法士の視点から
集団、個別どちらにもメリットがあります。
まず、集団では、利用者さんお互いの存在による「場の力」を利用できるとことです。
利用者さんそれぞれの身体機能や認知機能レベルは様々ですので、周囲の行動や、相互コ
ミュニケーションにより、覚醒が上がったり、体を動かしたり、歌ってみたくなるといっ
た効果が期待できます。円之助さんの笑顔を引き出す、原節子さんのようなウィットに富
んだ声かけには憧れます。
次に、個別訓練における身体機能の状態や目的です。
THさん:左上下肢の麻痺のため、自動運動のコントロールが難しいことがあります。
左上下肢の自動運動を促す訓練や、筋緊張をやわらげるリラクゼーションを実施していま
す。
SHさん:短期記憶、注意集中の低下、体幹下肢筋力低下がみられます
立位バランス安定のための、体幹、殿筋、下肢筋力トレーニング。家事動作を通した、立
位バランス、注意集中機能維持に取り組んでいます。
EKさん:パーキンソン症による、前傾姿勢、すくみ足、体幹・下肢筋力低下、筋拘縮
があります。入浴、服薬管理、場合によっては杖歩行に手介助または車いす介助を要する
ことがあります。歌、絵画、書道、工作など、ご自分でのお楽しみを幾つもお持ちです。
体幹、下肢筋力トレーニング、立位バランス訓練、頸背部のリラクゼーションを行ってい
ます。
ETさん:右上下肢麻痺による、上下肢の関節可動域制限。筋力低下、嚥下機能低下が
みられます。座位姿勢の調整、拘縮防止のための他動運動、日常生活での動作を使った上
下肢体幹運動、立位バランス訓練をしています。起居動作、移乗、更衣、おむつ交換など
日常の動作で、残存能力を見つけ、維持してゆけるよう介入しています。
TTさん:体幹、下肢筋力低下、嚥下機能低下みられます。体幹、下肢筋力トレーニン
グ。手作業や家事動作を通して、目と手の協調性や認知機能維持に取り組んでいます。
また、利用者さんの残存機能を活かし、末永く、くらしにおける主体性を保持するため
に、それぞれの状態や介入内容をスタッフ間で共有することも大切だと思っています。
■鍼灸師の視点から
東洋医学ではバランスを大事に考えます。気・血・水といった体を巡るもの、それぞれ
の臓腑が持つ機能や性質、季節、感情など、様々な要素を考え合わせ、弱きを補い強きを
抑します。
自分で体を動かすことはとても大事なので、デイサービスでは基本的には動きを中心に行
います。しかし、例えば足のむくみや肘・膝の痛みなどがあると動きに支障が出るので、
その軽減・緩和のため鍼やお灸を使います。
また、体内のものにしろ心にしろ、流れが滞るとそれも病気のもととなるので、軽いマ
ッサージやお話することで、流れが良くなるようにも努めます。お話をすることは、その
人の性質はもちろん体質を理解するのに必要なので、力を入れていきたいところだと思っ
ています。
QOLを維持・改善するためには自分で動けること=自分で自分のことができることが大
きな目標になります。作業療法士の松崎さんと協力して取り組んでまいります。
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