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ひろんたの恵み(11月の短信より)

執筆者の写真: ひろんた村ひろんた村

【油を搾る】

去年はとうとうできずに口惜しい思いをした椿油。今年も日増しに熟していく実を横目に走り回りながら、半ば諦めかけていました。そしたら熟年スタッフさんたちが「カタシ(椿)ばとらんば~!」と駆け回って、みるみるうちに母屋周辺の椿を採ってくれました。地元の人にとっては海も山も糧の宝庫。食えるものが朽ちるのを口を開けて見てるわけにはいかない世代です。母屋理事長もそこは同類で、おかげさまで何とか集まりました。収穫した実は天日で干し、パクっと割れたら中の黒い種を取り出し、またよく干して、迎えた11月4日。寒いと歩留まりが悪いのですが、そんな心配を嘲笑うかのような夏日です。



椿油搾りの手順は、

1、椿の種を臼と杵で砕く。

2、砕いた種を蒸し器で蒸す。

3、圧搾機に入れて搾る



がんばって砕く

この日は福江島からのお客さんも一緒に、砕いてはふるい、ふるっては砕くを根気強く繰り返し、最後は水を少し加えて油を滲み出させます。骨の折れる仕事ですが、種の中身の鮮やかな黄色や、だんだん油味を帯びてくるところなどの変化が楽しい工程。これをしっかり蒸気の上がった蒸篭でよく蒸します。表面に蒸気と油の混じった白い粒が見られるまで、という見極めに経験が必要です。蒸しあがったら、速やかに圧搾機に入れて搾る。この圧搾機も、今はもうない地元の鐵工所に30年以上前に特注で作ってもらったもの。昔は用途を理解して特異なものを作れる職人さんが多かったものです。油圧のジャッキで圧をかけていき、油がじわっと出てくると、わっと歓声があがりました。これにゆっくり火を入れて最後の水分を飛ばし、果たして黄金色の純椿油が完成です。


今回は全部で種12kg弱。4回8蒸篭に分けて午前中になんとか搗き終わり、お昼のあと搾って片付け、1日がかりで1升半の油がとれました。お昼(椿油の天ぷらと中華おこわ)の準備、火の番、片付けなど縁の下の力持ちを合わせて10人くらいの仕事となると、その輝きに深みが加わる気がします。深い歓びをくれる手仕事を、これからもつないでいけることを願っています。

(歌野杳)


ふるって、また砕いて







【農園の仕事】

ひろんた村で働き始めて1年半以上が経ち、自然の中で仕事をする中で季節の移り変わりがわかってきた。季節ごとにやるべきことは決まっているが、正確な時期は天候や他のやるべきことの多さによって変わる。機械や道具が動かないこともあるので、誰かに修理を頼んだり、近所の人に借りたりしなければならない。

季節ごとに新しい仕事がやってくる。

春: 植え付けの季節。野菜を植え、柑橘類の木を切りそろえ、畑に植える準備をする。その後、冬に栽培した小麦を収穫する。

夏: 雑草取りの季節。サツマイモや大豆を植える。ほぼ毎週、雑草を刈って取り除く。炭を作るために薪を切る。

秋: 収穫と秋植え。芋、大豆の収穫。玉ねぎ、ジャガイモ、小麦を植える。椿油をしぼる。

冬: ボイラーや炭用の薪を切って暖をとる。

季節に沿った通常の作業スケジュールに加えて、いつも予想外のことがある。山水の大掃除。不用品をリサイクルプラザへ。電気柵を突破した豚を元の場所に戻す作業。水ポンプのために小川の一番深い場所を探す。季節の移り変わりとともに働く経験ができたことに感謝している。外での仕事は予期せぬ困難をもたらすが、食べ物と美しさで私たちを報いてくれる。(Ian Petta)


ひろんた新畑にて

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