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執筆者の写真ひろんた村

「母屋」ではたらく

9月の「ひろんた村 短信」より、スタッフや研修の方の視点からのひろんた村です。


【暮らしのなかの仕事】

 五島に移住してあっという間に6年目の秋を迎えた髙橋家。今年は台風で栗がたくさん

落ちて栗三昧。確か移住した年も栗三昧で幸せを感じていた事を思い出します。

 五島での日々は早いながらも悩みも多く、栗に負けないくらいの実りがあったと感じま

す。初めての介護職、シングルマザーでの移住、限界集落での人付き合いなど壁にぶつか

っては泣いたり落ち込んだりふさいだりの繰り返しでした。(もちろん楽しいことも沢山あ

りました!)周りの状況に揺れ動く気持ち、育児をしながら定まらない自分の生き方に焦り

ながらも島での生活を続けることが出来たのは母屋での仕事のあり方にあります。

 ちょっと変わった老人ホームと宣伝してある通り、施設としてはもちろん、スタッフ側

からみても固定観念にとらわれず個々のニーズに合わせてくれるちょっと変わった職場だ

と感じています。わたしを例にあげると勤務形態が4年間で三度変わっています。夜勤あ

り正社員→夜勤なし正社員→パート、そして今後はもっとパート数を減らして自分で現金収入を得ながら生活に時間をシフトしていきたいと思っています。母屋のスタッフバランスを

見ながらの動きになりますが、仕事があっての生活だけでなく、生活があっての仕事とい

う選択ができる職場です。

母屋長老の食事を一緒に。

シフトで出退勤の時間はあるものの、仕事内容はそれぞれの長所を生かして各日スタッ

フ同士で役割分担をして母屋を支えていて、与えられた仕事をこなしていくというより個

々で考えて動くことが必要になる職場でもあります。それは生きていく上で大切な事だと

わたしは感じているので、母屋の働き方が合うのかもしれません。またシフトできっちり

仕事を分けるのではなく、スタッフ同士の長所と短所を組み合わせて仕事をしていくのは

、ひろんた村の中の小さな小さなコミュニティ力にも繋がっていくと思います。関わる人

が増えるだけ幅が広がる場所が職場だと、人付き合いが苦手で新しい出会いにストレスを

感じてしまう私の場合で、母屋を通じて交流することができています。

 こんな感じでひろんた村母屋、スタッフも働き方もちょっと変わっています。ちょっと

変わった人でも成長しながら楽しめる職場でもあります。(高橋亜也美:オープニングスタッフ。母屋という家を回す軸の一人です)


【作り出した「普通」は一つの革命──ひろんた村滞在記】

 4歳の息子と二人でひろんた村に約一月滞在させていただき、日々の自給的な暮らしや

母屋での仕事を体験させていただいた井上真理です。

 

母:バイオリン演奏。息子:板間でシュノーケル

私は岡山県で自給的な暮らしを目指しているシングルマザーで、特別養護老人ホームで

働いていました。そのホームは普通のホームだったと思いますが、ひろんた村の『ちょっ

と変わった老人ホーム』での体験を通して、その普通を突き破ることで実現する世界がな

んと『普通』で素晴らしいかを体感することができました。

 まず、自給自足と老人ホームってすごく調和するなと思いました。自分達で汗を流して

楽しんで育てた安心できるものを、心を込めて加工したり料理したりして、美味しく食べ

ていただいて、元気で健康でいていただく。豊かさを分かち合う一つの形として自然な営

みだと思います。それから子連れ出勤可ということ。そんなこと可能なの?!と思ってい

ましたが、現場に来てみると違和感なく、利用者さんも自然に子供がいることを受け入れ

てられるように感じました。元気がもらえるという声も聞いたり、毎日息子を見ると「か

わいいね~食べちゃうぞ!」ととびきりの笑顔を向けてくれた利用者さんも。そこまで問

題がなく、ポジティブな影響もあり得るのなら、私のようなシンママでも夜勤できるし夏

休みなんかも安心、不登校の親でも働ける、素晴らしい普通の突き破り方だと感じました

 変わってた方が普通になる日が来たら、例えばひろんた村母屋のような7人のおじいち

ゃんおばあちゃんと共に生きていける自給コミュニティが全国各地にできていけば、それ

はもう問題をひらっと飛び越える優しい革命たるのでは?と思います。私も岡山で頑張っ

ていきたいと思います。(井上真理:ひと月研修に来た音楽家・農民・介護士さん。各方面で強力な助っ人でした。ぜひまたどうぞ!)


【今月のハム:ソーセージがうまくできたので嬉しくてご報告】

今月の豚70・5㎏。前回とほぼ同じながら、肉質に大きな違いがありまし

た。ソーセージの出来がびっくりするほどいいのです。肉を練っているときから粘りが強

くてひょっとしたらという期待はあったのですが、ボイル後試食してびっくり。その場に

いた全員の顔が輝きました。「プリッとしてる」「全然違う」…これまでも時々いいなと

思うものもありましたが、今回はレベルが違う感じ。しっかり肉と肉が決着して少し硬い

位に締まっています。いったい何が違うのか不明なのですが、ともかくいいものができた

と喜んでいます。他のハムも良く味わってみて違いを確かめてみることにします。とまれ

加工品の良否はやはり素材であることを再確認した次第。

 素材と言えば今年のウリの粕漬けは大失敗。原因は二つ。ひとつは収穫期を誤ったこと

。初めて作った品種だったので穫り遅れたようで、柔らかくなってしまいました。もうひ

とつはどぶろくの滓の酵母が強かったのでしょう、発酵が進み過ぎて甘みが全く無く酸っ

ぱみが出てきたこと。柔らかくて甘みのないウリ漬けはどうにもこうにもなりません。今

年は張り切って大樽にたくさん仕込んだので、大ショックなのですが、この失敗は絶対に

忘れないでしょう。次の糧といたします。

 秋らしくなってきました。稲穂が色づき、さつま芋が大きくなってきている。忙しいけ

ど嬉しい季節です。(啓子)

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